株式会社を設立するにはどんな項目を決めておけばいいですか

 株式会社(株式の譲渡制限規定のある会社)の設立を お考えの方は、以下のスケジュール及び検討項目をご確認ください。
 当事務所においては、早ければ1日、通常は1週間程度で株式会社の設立登記を申請することができます。もちろん、電子定款を作成することにより印紙代4 万円を節約し、設立登記もオンライン申請を活用することにより、全国どこの地域にも設立申請が可能です。

(1)商号
 商号は会社の名前です。いわゆる社名です。商号には必ず「株式会社」の文字を入れなければなりませんが、位置は商号の頭(株式会社エービーシー)であっても末尾(エービーシー株式会社)であってもかまいません。
 理屈としては、商号の途中(エー株式会社ビーシー)であってもかまいませんが、そのような商号はあまり見かけません。

 商号は、日本語のほか、ローマ字(大文字及び小文字)、アラビア数字、一定の符号(「&」(アンパサンド)、「’」(アポストロフィー)、「,」(コン マ)、「-」(ハイフン)、「.」(ピリオド、「・」(中点))を使用することができます。
 ただし、符号は,字句(日本文字を含む)を区切る際の符号として使用する場合に限って使用することができるため、商号の先頭又は末尾には使用することが できません。
 ただ、「.」(ピリオド)については,省略を表すものとして商号の末尾に使用することもできます。
 なお、「(空白)」(スペース)は使うことができません。

 もちろん、日本語とローマ字を組み合わせた商号も使用することができますので、「東京SOHO株式会社」という商号でも差し支えありません。
 以前は、同一の市区町村内に類似の事業目的で類似の名称の別の会社が存在する場合には新会社の設立はできませんでしたが、この規制は廃止されました。
 しかし、「株式会社ヤマハ浜松」など、他の企業等の著名な名称や商品名を商号に使用することは避けるべきです。使用する者にその意図がなくても、著名な企業名等を利用して不正な利益を得ているとして紛争になることもあります。

 一方、法律で商号として使用することが制限されている言葉として、病院、診療所、医院やこれに紛らわしい言葉、商工会という名称など多数ありますので注意が必要です。

(2)本店
 
本店所在地は会社の住所です。本店は、必ずしも会社の実際の事業所でな くてもかまいません。たとえば、事業所が賃貸物件で将来移転が考えられるような場合には、とりあえずご自宅等を本店としておけば、会社の引っ越しの都度本店移転登記をしなくてすみます。

(3)事業目的
 会社の事業目的は、第三者が見た場合にどのような事業を営んでいる会社なのかある程度わかるような表現をしてください。
  事業目的を定める場合には、設立後すぐには行わない事業であっても、将来的に行う可能性のある事業は記載しておいた方がいいでしょう。なぜなら、もしも、 将来、事業目的に定めのない新しい事業を展開することになりますと、事業目的の変更登記をしなければならなくなり、手間とコストがかかってしまうからで す。

 また、建設業などの許認可を受ける事業を行いたい場合には、許認可を受ける官庁に、記載方法について相談してみるのもよいでしょう。さらに、許認可を必要とする事業の中には、一定の資格者の確保や経験年数などの要件を満たす必要がある場合もあります。これは事前に確認しておきたいものです。

 事業目的は、通常、末尾に「前各号に付帯する一切の事業」という記載を入れます。したがって、事業目的として記載していない業務が発生したとしても、許認可等を受ける必要のない限り、会社の事業として行うことは問題ありません。

(4)株主
 株主とは、会社に対する資本の出資者のことを意味します。株主の人数には1人でも複数でも制限はありません。
 小規模な株式会社を設立するという前提で考えますと、おそらく、1名~3名程度の場合が多いものと思われます。

 もっとも、友人等に出資してもらって共同経営を始めたところ、後日、仲違いとなってしまったということはよくある話です。友人等に出資を依頼する際には、「失敗することもあるからそのつもりで出資して欲しい」というぐらいの気持ちを伝えるのもいいかもしれません。

 最低資本金制度が廃止されたため、出資する金額はいくらでもかまいませんが、株主総会の議決権を株式数に応じて定める関係上、発行する株式の1株あたりの発行金額(1株5万円など)をまず定め、何株の出資にするのかを決めるのがよいでしょう。実際には、最低でも、会社の運営に当面必要な資金を出資しても らうのがいいでしょう。

 したがって、パソコンと通信費、その他若干の経費しかかからず、すぐに売り上げが発生して運転資金は大丈夫ということであれば、当面は、それほど多くの出資金は必要ないのかもしれません。

 もっとも、設立後間もない会社は融資も受けにくいものです。当面の資金繰りを考えて資本金を決めてください。
 また、出資をする割合には注意を配る必要があります。経営の主導権を持つためには過半数の出資を引き受ける必要があります。

(5)事業年度
 初年度の第1期は、会社設立の日から事業年度末日までとなります。事業年度は1年を超えることができませんが、設立後、すぐに事業年度末日が到来すると決算事務をすぐしなければならなくなってしまいます。
 したがって、事業年度は、会社設立日の前月末日などにしておく方がいいでしょう。

 また、事業年度末日後2カ月で決算の申告をすることになりますので、繁忙期のあるお仕事でしたら繁忙期を避けておくほうがいいでしょう。会社の経理を税理士に依頼する場合には、税理士にも相談しておく方がいいでしょう。

(6)設立日
 登記を申請する日が会社設立日となります。したがって、法務局が登記の申請の受付を行わない 土曜日、日曜日、祝日を設立日とすることはできません。

 ここでいう設立日は、法律上の設立日です。対外的に会社設立を広報する日と異なっていることもよくあるようです。
 実際に開業するとなると、事業所の賃貸借契約、電話の敷設、印刷物の発注など様々な準備があります。
 しかも、賃貸借契約や電話の敷設などでは、会社の登記事項証明書などが求められることがあります。
  したがって、仮に対外的には4月1日から開業したいのであれば、3月上旬には設立登記をすませてしまう方が準備がスムーズです。

(7)機関設計
 株式会社においては、株主総会と取締役は必ず置かなければなりませんが、取締役会、監査役、会計参与、会計監査人については設置は任意とされています。

 会計監査人は大規模な会社以外では通常置くことはありませんので、機関設計としては、取締役会、監査役、会計参与を置くかどうかという選択肢になりますが、それぞれの機関の特性を考慮して機関設計をする必要があります。
 一般的には、次のような考え方で決めればよいと考えられます。

 (A)取締役会非設置会社か、取締役会設置会社か
    (前提:大会社ではない非公開会社)
    考え方:所有と経営と一致している会社(家族経営のような場合)は取締役会非設置会社でよいが、他人の出資がある場合は株主総会の権限が限定的な取締役会設置会社の方が効率的である。

 (B)監査役を設置するかしないか
    考え方:一人株主や純粋な家族経営の会社でない場合は、業務監査権限(注)を有する監査役を設置する意味は大 きい。
        (注)非公開会社(会計監査人設置会社を除く)の監査役は、定款で監査範囲を会計
             に関するものに限定することができる(法389①)。

 (C)会計参与を設置するかしないか
    考え方:計算書類の信頼性を高める必要性(融資の交渉等)がある場合には会計参与を設置する意味はある。

(8)役員の任期について
 
 取締役、会計参与の任期は、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで、監査役の任期は、原則として選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとなります。
  しかし、株式の譲渡制限のある会社は、これらを10年まで伸長することができます。

 実質的に役員の交代がなくても、任期毎に登記をし直す必要がありますので、コストの面だけを考えると、任期を長くしておく方がメリットがあります。
  しかし、将来、任期途中で役員を解任するような事態を想定すると、解任した役員から残存任期に対する損害賠償を請求されるおそれもありますので、任期が長いのが一概によいと言うこともできません。

 以上を踏まえ、任期を検討してください。

 

電話053-458-1551又はメールでご相談ください。